M&Aが注目を集める最大の理由
M&Aが注目を集める最大の理由として、終身雇用が崩壊しつつあることが挙げられます。
特に創業社長は会社の社員のことを、家族同様に思い、社員の雇用や生活を守る為にこれまで経営をしてきました。そのため「会社を他人に売る」ということに抵抗を覚える経営者の方も多かったですが、終身雇用も崩壊しつつある現在は、そういう意識も徐々に変化してきています。
一昔前までは、自身の息子や兄弟への「親族内承継」というのが一般的でした。
現在、会社自体は素晴らしくとも、創業社長は大変な思いで会社を経営してきたことで
- 不確定な将来に自分の息子を
巻き込みたくない
- 自分の息子には
跡を継がせたくない
- 同じ苦労を息子には
させたくない
このように考えている社長が増えています。また、父親として息子さん・娘さんには東京の大学を勧める方も増えており、このような意識の変化から「事業継承問題」が起こり、多くの中小企業が後継者不足に悩まされています。
これらの後継者問題は、例えば売り手側がビジネスを手仕舞いする場合、
倒産以外ではこれらの選択肢があります。
M&Aは「手仕舞いの手法の一つ」と捉えることができます。
従業員さんの雇用を守りながら、自分がリタイアでき、会社も顧客も残せるという大きなメリットが期待できます。
また、買い手側からすると、完成されたビジネススキームを購入するわけですから、成長のスタートダッシュのスピードが格段に早くなります。 他地域でビジネスを興す場合は、その地域間での情報の格差、人件費の格差、地域ならではの慣習や文化の違いなど一から創業すること は簡単ではありません。
しかし、M&Aを用いればそうした地域間の格差に悩むこともなく、また創業者様からしっかり引継ぎを教えてもらえれば、極論すると 「明日から新規事業」ということが可能なわけです。
M&Aとは?「意味」と「定義」
M&A(エムアンドエー)とは「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の略です。資本の移動を伴う企業の合併と買収を指した言葉で、近年の経営戦略の1つとなっています。
M&Aは日本ではおよそ2000年代から、経営戦略として注目を浴びるようにになり、以降、年々実施件数が増加しています。M&Aは様々な経営課題を効率良く解決する手段として、多くの経営者が会社の存続や事業の拡大などのために、M&Aを検討しています。
M&Aで用いられる
6つの手法とは?
M&Aによる経営戦力に用いられる手法には、主に以下のようなものがあります。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 会社分割
- 株式交換
- 第三者割当増資
- 合併
どの手法でM&Aを行うのかによって、得られる効果や必要な手続きが変わってきます。
それぞれの手法がどのようなものかを大まかに理解し、自社に最適な手法を考えていきましょう。
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株式譲渡
株式譲渡とは、会社を譲り渡す側の株主が50%を超える株式を対価と引き換えに譲渡し、株主の地位を譲ることです。
株主は代わりますが、会社の事業は変わらずに続いていきます。
そのため、M&A後も経営に影響を与えにくいメリットがあります。
株式譲渡は最も活用されているM&Aの手法で、中小企業のM&Aの8割以上は株式譲渡であると言われるくらいポピュラーな手法となっています。
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事業譲渡
事業譲渡とは、企業全体ではなく、特定の事業だけを譲渡する手法です。
株式譲渡とは異なり、譲渡する範囲を決めることができますが、その分手続きも煩雑となります。
譲渡企業の経営者が一部の事業だけを譲渡したい場合や、譲受企業が赤字の事業を承継したくない場合などに利用されます。中小企業におけるM&Aでは株式譲渡に次いで活用される手法となっています。
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会社分割
会社分割とは、譲渡企業の特定の事業をほかの会社に承継させる手法で会社を既存の会社か新設する会社に分割します。
権利義務は分割した会社に引き継ぎます。
既存・新設の会社分割は吸収分割と新設分割と呼ばれ、吸収分割は分けた事業を既存の会社に引き継ぎ、新設分割とは分けた事業を新設した会社に引き継ぐ手法となっています。
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株式交換
株式交換とは、会社の発行済株式のすべてを、既存の株式会社または合同会社に取得させることにより、完全な親子会社関係を創設する手法です。
株式を譲る際には、発行済株式を対価として、十分な資金がなくても組織再編を行うことができます。逆に売却側企業のオーナーは売却益を手に入れることができない点には注意が必要です。
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第三者割当増資
第三者割当増資とは、新しく株式を発行して、その割り当てを受ける権利を
特定の第三者に対して与える手法です。
取引先や普段からお世話になっている金融機関に権利が与えられることが多く、関連会社や人との連携の強化を図ることができます。
経営状況の悪化や株価が低下で通常の増資が困難な際の対策などで、第三者割当増資は行われます。
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合併
合併とは、複数の会社を1つの会社に統合することです。
2社以上がまとまって1社になり、残された企業以外はなくなります。
合併は、「吸収合併」と「新設合併」の2つに分類されます。2つ以上の会社が経営統合し1つの会社として新会社を設立することを「吸収合併」、その会社に当事者である複数の会社を合併させることを「新設合併」といいます。
買収の場合だと売却側企業は存続するので、その点が大きな違いです。合併が行われてなくなってしまう企業の権利義務は残された企業に移ります。したがって、デューデリジェンス(買収前の調査)をしっかり行わなければ、予想外のリスクまで引き継ぐ場合があることに注意が必要です。
M&Aのメリット
中小企業の経営戦略において、M&Aは売手と買手双方にとって有効な手法です。
買手にとっては参入を容易にし(創業・新規事業・新分野進出・第2創業…)br 売手にとっては出口戦略の多様化(事業の選択と集中・後継者問題の解決・代表者保証問題の解決…)などを図ることができます。
「敵対的買収」は中小企業には無関係です。
双方合意のもと友好的な事業提携・資本提携で経営課題の解決を図ることができます。